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脳トレ音読の読み物0316
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    脳トレ音読の読み物として、できれば声に出して音読してみましょう。

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     土屋庄三郎は邸を出てブラブラ条坊《まち》を彷徨《さまよ》った。
     高坂《こうさか》邸、馬場邸、真田《さなだ》邸の前を通り、鍛冶《かじ》小路の方へ歩いて行く。時は朧《おぼ》ろの春の夜でもう時刻が遅かったので邸々は寂しかったが、「春の夜の艶《なまめ》かしさ、そこはかとなく匂ひこぼれ、人気《ひとけ》なけれど賑かに思はれ」で、陰気のところなどは少しもない。

    「花を見るにはどっちがよかろう、伝奏《てんそう》屋敷か山県《やまがた》邸か」
     鍛冶小路の辻まで来ると庄三郎は足を止めたが、「いっそ神明の宮社《やしろ》がよかろう」
     こう呟くと南へ折れ、曽根の邸の裾を廻わった。

     しかし、実際はどこへ行こうとも、またどこへ行かずとも、花はいくらでも見られるのであった。月に向かって夢見るような大輪の白い木蘭《もくらん》の花は小山田邸の塀越しに咲き下を通る人へ匂いをおくり、夜眼《よめ》にも黄色い連翹《れんぎょう》の花や雪のように白い梨の花は諸角《もろずみ》邸の築地の周囲を靄《もや》のように暈《ぼか》している。桜の花に至っては、信玄公が好まれるだけに、躑躅《つつじ》ヶ崎のお館《やかた》を巡り左右前後に延びているこの甲府のいたるところに爛漫《らんまん》と咲いているのであったが、わけてもお館の中庭と伝奏屋敷と山県邸と神明の社地とに多かった。

    「花を踏んで等しく惜しむ少年の春。灯《ともしび》に反《そむ》いて共に憐れむ深夜の月。……ああ夜桜はよいものだ」
     小声で朗詠を吟じながら、境内まで来た庄三郎は、静かに社殿の前へ行き、合掌して叩頭《ぬかず》いたが、
    「お館の隆盛、身の安泰、武運長久、文運長久」

     こう祈って顔を上げて見ると、社殿の縁先|狐格子の前に一人の老人が腰かけていた。朧ろ朧ろの月の光も屋根に遮《さえぎ》られてそこまでは届かず、婆裟《ばさ》として暗いその辺りを淡紅色にほのめかせて何やら老人は持っているらしい。
     おおかた参詣の人でもあろう。――こう思って気にも止めず、庄三郎は足を返した。
     と、うしろから呼ぶものがある。

    「もし、お若いお侍様、どうぞちょっとお待ちくださいまし」
     ――それは嗄《しわが》れた声である。
     で、庄三郎は振り返った。

     山袴《やまばかま》を穿《は》き、袖無しを着、短い刀を腰に帯び、畳んだ烏帽子《えぼし》を額に載せ、輝くばかりに美しい深紅の布《きぬ》を肩に掛けた、身長《せい》の高い老人が庄三郎の眼の前に立っている。
    「老人、何か用事かな?」
     庄三郎は訊いて見た。

    「布《きぬ》をお買いくださいまし」
     おずおずとして老人は云う。
    「おお、お前は布売りか。いかさま紅い布を持っておるの」
    「よい布でございます。どうぞお買いくださいまし」
    「よい布か悪い布か、そういうことは俺には解らぬ」庄三郎は微笑したが、「俺はこれでも男だからな」

    「お案じなさるには及びませぬ。布は上等でございます」
     老人は執念《しつこ》く繰り返す。
    「そうか、それではそういうことにしよう、よろしい布は上等だ。しかし、俺には用はないよ」
     云いすてて庄三郎は歩き出した。

     しかし布売りの老人は、そのまま断念しようとはせず、行手へ廻わってまた云うのであった。
    「布をお買いくださいまし」
    「見せろ!」
     と庄三郎は我折れたように、とうとうこう云って手を出した。
    「なるほど。むうう。美《よ》い色だな」

     渡された布を月影に隙《す》かしつくづくと眺めた庄三郎は思わず感嘆したのであった。
    「はい美い色でございます。そこがその布の値打ちのところで……」さもこそとばかりに老人は云った。

    「若い女子《おなご》の喜びそうな色だ。なんと老人そうではないかな」
    「はいさようでございます」
    「ここら辺にはお邸も多い。若い女子も沢山いる。お邸方の奥向《おくむき》へ参って若い姫達のお目にかけたら喜んで飛び付いて参ろうぞ」

    「今日も昨日も一昨日《おとつい》も、もうかれこれ十日余りも、お邸方へ参上致し、さまざまご贔負《ひいき》にあずかりましたが、この布ばかりは買っていただけず、一巻《ひとまき》だけ残りましてございます」
    「どなたの嗜好《このみ》にも合わないと見えるな」
    「皆様、恐《こわ》らしいと申されます」

    「なに恐らしい?」と不思議そうに、「はて何が恐いのか?」
    「そのお色気でございます」
    「色気と云っても、紅いだけではないか」

    「人間の血で染めたような、燃え立つばかりの紅い色が、恐らしいそうでございます」
    「アッハッハッハッ、馬鹿な事を。さすがは女子、臆病なものだな」
     もう一度布を差し上げて、月の光に照らして見たが、庄三郎は思わず身顫《みぶる》いをした。









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    posted by: nandemoya1 | 脳トレ音読の読み物 | 12:50 | - | - |
    脳トレ音読の読み物-1
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      朝の脳トレ音読の読み物として、できれば声に出して音読してみましょう。

      きょうの読み物は、中学生のときに国語の教科書にでていましたね。


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      摂津半国の主であった松山新介の侍大将中村新兵衛は、五畿内中国に聞こえた大豪の士であった。

      そのころ、畿内を分領していた筒井、松永、荒木、和田、別所など大名小名の手の者で、『鎗中村』を知らぬ者は、おそらく一人もなかっただろう。

      それほど、新兵衛はその扱《しご》き出す三間柄《え》の大身の鎗の鋒先《ほこさき》で、さきがけ殿《しんがり》の功名を重ねていた。

      そのうえ、彼の武者姿は戦場において、水ぎわ立ったはなやかさを示していた。

      火のような猩々緋《しょうじょうひ》の服折を着て、唐冠纓金《えいきん》の兜《かぶと》をかぶった彼の姿は、敵味方の間に、輝くばかりのあざやかさをもっていた。

      「ああ猩々緋よ唐冠よ」と敵の雑兵は、新兵衛の鎗先を避けた。

      味方がくずれ立ったとき、激浪の中に立つ巌のように敵勢をささえている猩々緋の姿は、どれほど味方にとってたのもしいものであったかわからなかった。

      また嵐のように敵陣に殺到するとき、その先頭に輝いている唐冠の兜は、敵にとってどれほどの脅威であるかわからなかった。

      こうして鎗中村の猩々緋と唐冠の兜は、戦場の華であり敵に対する脅威であり味方にとっては信頼の的であった。

      「新兵衛どの、おり入ってお願いがある」と元服してからまだ間もないらしい美男の士《さむらい》は、新兵衛の前に手を突いた。

      「なにごとじゃ、そなたとわれらの間に、さような辞儀はいらぬぞ。望みというを、はよういうて見い」と育ぐくむような慈顔をもって、新兵衛は相手を見た。

      その若い士《さむらい》は、新兵衛の主君松山新介の側腹の子であった。

      そして、幼少のころから、新兵衛が守り役として、わが子のようにいつくしみ育ててきたのであった。

      「ほかのことでもおりない。明日はわれらの初陣《ういじん》じゃほどに、なんぞはなばなしい手柄をしてみたい。

      ついてはお身さまの猩々緋と唐冠の兜を借してたもらぬか。あの服折と兜とを着て、敵の眼をおどろかしてみとうござる」

      「ハハハハ念もないことじゃ」新兵衛は高らかに笑った。

      新兵衛は、相手の子供らしい無邪気な功名心をこころよく受け入れることができた。

      「が、申しておく、あの服折や兜は、申さば中村新兵衛の形じゃわ。そなたが、あの品々を身に着けるうえは、われらほどの肝魂《きもたま》を持たいではかなわぬことぞ」と言いながら、新兵衛はまた高らかに笑った。

      そのあくる日、摂津平野の一角で、松山勢は、大和の筒井順慶の兵と鎬《しのぎ》をけずった。

      戦いが始まる前いつものように猩々緋の武者が唐冠の兜を朝日に輝かしながら、敵勢を尻目にかけて、大きく輪乗りをしたかと思うと、駒の頭を立てなおして、一気に敵陣に乗り入った。

      吹き分けられるように、敵陣の一角が乱れたところを、猩々緋の武者は鎗をつけたかと思うと、早くも三、四人の端武者を、突き伏せて、またゆうゆうと味方の陣へ引き返した。

      その日に限って、黒皮縅《おどし》の冑《よろい》を着て、南蛮鉄の兜をかぶっていた中村新兵衛は、会心の微笑を含みながら、猩々緋の武者のはなばなしい武者ぶりをながめていた。

      そして自分の形だけすらこれほどの力をもっているということに、かなり大きい誇りを感じていた。

      彼は二番鎗は、自分が合わそうと思ったので、駒を乗り出すと、一文字に敵陣に殺到した。

      猩々緋の武者の前には、戦わずして浮き足立った敵陣が、中村新兵衛の前には、ビクともしなかった。

      そのうえに彼らは猩々緋の『鎗中村』に突きみだされたうらみを、この黒皮縅の武者の上に復讐せんとして、たけり立っていた。

      新兵衛は、いつもとは、勝手が違っていることに気がついた。

      いつもは虎に向かっている羊のような怖気《おじけ》が、敵にあった。

      彼らは狼狽《うろた》え血迷うところを突き伏せるのに、なんの雑作もなかった。

      今日は、彼らは戦いをする時のように、勇み立っていた。

      どの雑兵もどの雑兵も十二分の力を新兵衛に対し発揮した。

      二、三人突き伏せることさえ容易ではなかった。

      敵の鎗の鋒先が、ともすれば身をかすった。

      新兵衛は必死の力を振るった。

      平素の二倍もの力さえ振るった。

      が、彼はともすれば突き負けそうになった。

      手軽に兜や猩々緋を借したことを、後悔するような感じが頭の中をかすめたときであった。

      敵の突き出した鎗が、縅の裏をかいて彼の脾腹《ひばら》を貫いていた。






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      posted by: nandemoya1 | 脳トレ音読の読み物 | 07:00 | - | - |